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なにか食べさせてください
僕の作った料理の紹介。僕の読んだ本の紹介。
死ねばいいのに
死ねばいいのに死ねばいいのに
(2010/05/15)
京極 夏彦

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iPadの電子書籍で話題の、京極夏彦『死ねばいいのに』。

個人的に電子書籍は嫌いです。
ためしにiPadで何冊か読んでみましたが・・・ダメでした。
激しいストレスを感じましたよ。やっぱ本は紙がいいです。



さて、本作、予備知識ゼロで読みましたが、予想とまったく違いました。

『厭な話』はひたすら「厭」な話が続くというものでしたが、
『死ねばいいのに』は「死ねばいい」と思う話ではないです。

ストーリーはいたってシンプル。
殺人事件の被害女性アサミの「知人」であるケンヤ。
彼は生前のアサミがどんな女性であったのか、アサミの関係者に聞いて回ります。

視点はケンヤの訪問を受ける「アサミの関係者」たち。
アサミの愛人、隣人、母親など。

彼らは何かしら不満を抱えていて、周囲からの不当な扱いに憤りを感じています。
彼らはいかに自分が不幸で、評価が不当であるかを滔々と語ります。

ケンヤはそれに対して

そんならさ

「――― 死ねばいいのに」

不満しかなくてそれに我慢が出来ないんなら死ぬしかないじゃん

というわけです。

それ言われた「アサミの関係者」が何かしらのリアクションをとっておしまい。

型にハマった大人の理論 VS 愚直なガキの思ったこと(笑)

それを6人分読めます。

あ、もちろん最後に犯人はわかりますよ。
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天地明察
本日は寝坊のため、お弁当はお休みです。残念。
本日は外食のため、晩ご飯はお休みです。無念。
本日は飲酒のため、お勉強はお休みです。・・・。


ところで、今テレビでやってたのですが、お好み焼きの「道頓堀」の第一号店は東京都武蔵村山市だそうです。うむ。行ったことある。あの店だけ店員が語尾に「ぽんぽこぽーん」をつけるのはそのためだったのか。ん?つけるんですよ。語尾に、ぽんぽこぽーん。「いらっしゃいませぽんぽこぽーん」「お待たせいたしましたぽんぽこぽーん」「ありがとうございましたぽんぽこぽーん」って。本当に。面白いので行ってみてください。


さて、久々に本のご紹介。
他にも紹介したいのがあったのですが、もう、たまりにたまってしまったので一回リセットです。


天地明察天地明察
(2009/12/01)
冲方 丁

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2010年度本屋大賞第一位受賞作の『天地明察』。
基本的にミステリ小説中心で読みますが、本屋大賞受賞作は例外。
個人的な意見ですが本屋大賞にハズレはありません。


江戸時代初期の囲碁棋士、渋川春海のお話。
というと囲碁のお話のようですが、そうではありません。
もちろん囲碁も重要なファクターですが、メインではないのです。


春海は囲碁の才能に恵まれながらも、それ以上に算術に夢中。
そんな春海が算術の天才の存在を知るところから物語は始まります。


その天才は春海が一昼夜かけて解くような難問を一目見ただけで次々と解くといいます。


春海はまだ見ぬ彼を「一瞥即解の士」と呼び、彼に算術勝負を挑むため問題づくりに没頭します。


そんな春海に幕府から全国行脚して星を観測するよう命令が下ります。
このような重大な使命が自分に下ることが解せない春海は、困惑しつつも出立までに「一瞥即解の士」への算術問題を考え抜きますが・・・。




春海はこの観測の旅がキッカケで、生涯を賭してある一大プロジェクトに勝負を挑み続けることになります。
幾度もの挫折を味わいつつも、あるときは仲間に支えられ、あるときは仲間の遺したものを背負いこみ、ただひたすら同じ勝負を挑み続けるのです。


この春海の、ひたむきな性格がすごく好きなのです。
ひとつの目標に邁進し続け、その分失敗もし続ける。すごく頼りないのにすごくカッコいい。
これを読めばみんな春海を好きになるはず。


春海の勝負にただただ鳥肌の立つ本作。
ぜひぜひ読んでください。おススメ。


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陰陽師
陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)
(1991/02)
夢枕 獏

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今さらですが、去年末くらいから読み始めました。
夢枕獏『陰陽師』シリーズです。
1冊ずつ気が向いた時に読んでるので全巻読むのに時間がかかりそうです。
急いで全巻読むのはなんだか勿体ないかな。
この本はゆっくりしたペースで読むのが適してる気がします。

この人の作品は『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』が大好きです。
空海と橘逸勢の掛け合いがとても好きでした。

そしてこの『陰陽師』も安倍晴明と源博雅の掛け合いがすごく素敵。
とくに源博雅のキャラクタが好き。どこまでも正直な男です。

また、物語が静かで綺麗です。
鬼が走り回って人間の首をもいだり、腹を踏みつぶしたり、もちろん食べたり、人が人を呪いで殺したり、気味の悪い妖怪が跋扈したりするのですが、
なぜか常に静けさというか、しんみりとした感じというか、そういったものが漂っています。
不思議だなぁ。

しんみりとしたい人は是非。

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ダブルダウン勘繰郎 トリプルプレイ助悪郎
ダブルダウン勘繰郎 トリプルプレイ助悪郎 (講談社文庫―西尾維新文庫)ダブルダウン勘繰郎 トリプルプレイ助悪郎 (講談社文庫―西尾維新文庫)
(2010/01/15)
西尾 維新

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西尾維新『ダブルダウン勘繰郎トリプルプレイ助悪郎』
タイトルに惹かれて買ってしまいました。

ちなみに僕の好きな本のタイトル第一位は『独白するユニバーサル横メルカトル』です。
『夢・出会い・魔性(You may die in my show)』も捨てがたい。

さて『ダブルダウン勘繰郎トリプルプレイ助悪郎』ですが
こちらは清涼院流水のJDCシリーズのトリビュート作品となっています。

JDC
Japan Detectives Club
日本探偵倶楽部
最高峰に優秀な探偵たちの組織です。
九十九十九や龍宮城之介などの探偵が所属します。
とかいってもこのシリーズ『コズミック』『ジョーカー』の2冊しか読んでいないのであんまり書けません。
(その二冊ともとんでもない内容でしたけど・・・個人的には好き)

なのでその辺は割愛。


というわけで『ダブルダウン勘繰郎トリプルプレイ助悪郎』の話。

この本は『ダブルダウン勘繰郎』と『トリプルプレイ助悪郎』の二本立て。


『ダブルダウン勘繰郎』
探偵を志す者と、かつて探偵だった者と、かつて探偵を志した者の話。
うーん。簡単にいてしまえばライトノベルです。特に感想なし。
強いて言えば「虚野勘繰郎(むなしのかんぐろう)」って名前が好き。


『トリプルプレイ助悪郎』
こちらもライトノベル的ですが、個人的にはこっちの方が好き。
泥棒の助悪郎。
一度の盗みで三人殺す。三重殺の案山子(Scarecrow)。
その助悪郎から、とある屋敷に予告状が届く。
「髑髏畑百足(どくろばたけむかで)の遺稿を頂戴仕る」的な。
そこに赴くJDCの海藤。
髑髏畑百足の遺稿と殺される誰か3人の命を守ることができるのか。

解答編がバレバレなのが残念です。
でも「どくろばたけ」という謎の名前がすき。


あんまりおススメではないです。

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数えずの井戸
数えずの井戸数えずの井戸
(2010/01/25)
京極 夏彦

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ご無沙汰してます。

待ちに待った京極夏彦版『番町皿屋敷』です。
一枚二枚三枚…九枚、一枚足りなーいってやつです。
四谷怪談並みにおなじみの怪談ですね。

おなじみです。
おなじみ。

でも。

京極夏彦が所謂世間一般の『番町皿屋敷』をそのまま小説にするわけはありません。
いうなれば『新釈番町皿屋敷』でしょうか。

そもそも

井戸からお菊がひゅーどろろ。皿を数えるが番町皿屋敷。
それを『数えずの井戸』とは妙な話。

物語はこんな感じで始まります。

(前略)
日暮れより訪れる者、近寄る者とて居らぬというに、丑三に涌き出ずる幽霊の幽けき声を
誰が聞くのか、その暗き姿を誰が見るというのか。
それでも。
その幽霊はうら若き見目麗しき腰元であるとされた。
その女は、漆黒の井戸の孔より浮かび出で哀切なる声色で、
一枚。
二枚。
三枚。
四枚。
五枚
六枚。
七枚。
八枚。
九枚。
と、手にした皿を数えるという。




ばっちりですね。雰囲気ばっちり。



物語は複数人の登場人物の視点で順繰りに語られます。

直参旗本番町青山家当主、青山播磨はいつも、何かが欠けているような焦燥感に追いかけらている。
謹厳実直、剣の腕は門下でも一二を争う腕前。若年寄の覚えも良い。

でも。

常に何かが足りない。
強欲なわけではなく。

確かにそれですべててでも、そう理解できても、
本当にそれですべてなのかと疑ってしまう。

常に足りないので、満たされない。それが青山播磨。

その青山家には、家宝である十枚一揃の家宝の皿があるという。
そして、その庭には井戸がある。


ゾクゾクしますね。最高に面白かったです。

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